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バイリンガル育児

ネイティブはどうして雑音があっても会話が聞き取れるの?

 

こんにちは。まめちゃん(@mame_chang)です。韓国在住通算約15年、そのうち約10年は子どもたちのバイリンガル育児に力を注いでいます。

 

さて、外国語の勉強をしたことがあるとわかると思うのですが、初級のうちは全身を「耳」にして集中して聞こうとする傾向があると思います。日本語とはかけ離れた言語で、日本語にはない音がたくさんあればあるほどそうなると思います。

 

そしてだんだん慣れてくると少しずつ「聞く」から「聞こえる」に変わっていくのではないかと思います。

 

何かのきっかけで勉強した言語が話されている国に住むようになったら、きっと毎日その言語を耳にすると思います。そうなるとどんどん慣れてきて初級の頃のように全身全霊をかけて聞き取りに集中しなくても、「聞こえる」ようになるように思います。

 

ところでネイティブというものは、大した苦労もせず母語を聞いて話すことができます(話の内容ではなく言語自体を、という意味で)。しかも、電車の中でも、周りがざわざわした場所でも関係ありません。

 

今回は、「ネイティブはどうして周りに雑音があってもちゃんと聞き取れるんだろう?」という私自身の素朴な疑問について考えてみたいと思います。





ネイティブはどうして雑音があっても会話が聞き取れるの?

まず、なぜ私がそんな疑問を持ったのかについて簡単にお話ししたいと思います。

 

★.飲み屋で見た光景 

それは、ずいぶん前のことですがある飲み屋さんでの出来事でした。みんなでお酒を飲んでいた時に、英語が母語の人がいました。飲み屋でかかっていた音楽は英語の音楽で、その人は楽しそうに英語で歌ってました。携帯に電話がかかってきても大声で英語で会話をしていました。しかしその次の電話は韓国語だったようで片手で携帯を持ち、反対の手の指で耳をふさぎながら一生懸命会話をしていましたがよく聞こえないらしく何度も聞き返した挙句、ついに携帯を持って席を立ってお店の外で話し始めました。

 

これを横で見ていて、

 

まめちゃん
雑音の中で外国語で電話は大変だよな〜。

 

と思ったのを覚えています。

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ネイティブはどうして多少の雑音があっても聞き取れるの?

この飲み屋での話はちょっと極端かもしれませんが、少なくとも私が

 

まめちゃん
ネイティブはどうして多少の雑音があっても母語は聞き取れるの?!

 

を考えるきっかけとなりました。では、どうしてなのでしょう? これを私の母語である日本語で考えてみます。

 

例えば、朝、電車の駅のホームで誰かに会ったとします。その時、駅のアナウンスや人の声などの雑音の中でこんな会話があったとします。しかし、「★」の部分は雑音でかき消されてしまいました。

 

A :はようございます〜。

B :あ、おはようございます! きのうは、ありがとございました。ほとうに、助かりました。

A :いやいや、たいしたこと全然してないよ~。また、んかあったら声かけてね。

 

 

もちろん、書いてある文字を見て考えるのと実際に耳で聞くのは違います。しかし、朝の挨拶は、

 

おはようございます。

 

そして、何かをしてあげた時のお礼の言葉は、

 

ありがとうございます(ました)

 

だと知っていれば、一語一句すべてが聞こえなくても意味がわかります。また、Bさんが「昨日は、」と言っているので、昨日Aさんを助けたという記憶があれば、Aさんは何の話をしているのか容易に察しがつくのではないかと思います。

 

そして、「ほ★んとうに、」も、「また、★んかあったら、」の「★」の部分も、文脈からそれぞれ

 

ほんとうに

また、なんかあったら...

 

とわかると思います。ネイティブの場合、きっと手掛かりにしているのは、

 

  1. 文脈。
  2. その言葉、表現を知っている。

 

ということだと思います。つまり「はようございます。」としか耳に聞こえなくても、

 

  • 文脈 → 今は朝だから朝の挨拶をする。
  • 「おはようございます。」という日本語を知っている。

 

ということで、聞こえない「お」の部分を頭の中で補いながら「おはようございます。」として聞いて会話を進めていくのだと思います。



ネイティブじゃないと雑音があったら絶対に聞き取れない?

また、ネイティブではないと、雑音があったら絶対に聞き取れないものなのでしょうか。これは、その人の語学力によるのではないかと思います。初級、中級レベルだと周りがざわざわしている時にちゃんと聞き取れないと不安が残ると思います。

 

また留学経験などがあり、上級レベルだとその言語が母語の人にかなり近づくことができます。そのような場合は、膨大な量を聞いて話すという経験を既にしていると思うので、その言語が母語の人のように文脈や自分の知っている語彙を頼りにして意味を把握できる可能性が高くなると思います。

 

親が子どもにして挙げられるのは、海外に住んでいても子どものころから膨大な量の日本語を聞かせたり話したりして、日本語が母語の人に近づけるようにすること、ではないかと思います。



バイリンガル子育てをしているネイティブの親として

現在、韓国で子どもたちを日本語と韓国語ができるバイリンガルにしようと奮闘している私の場合、このままいくと韓国語は私が特に何もしなくてもネイティブになっていくと思います。しかし、何もしないでいるとどんどん家の中も韓国語が増えていくので、日本語もネイティブになってもらおうと思ったら、家族の協力が必要になります。

 

ただ、雑音の中でも言葉が聞き取れるようになってほしい、というのだけが理由ではありませんが、せっかく日本語が母語の親と韓国語が母語の親のもとに生まれてきたので、親が子どもにしてあげられることのひとつとしてバイリンガル子育てをしていこうと思います。



まとめ

今回は、ずいぶん前に飲み会で見た英語が母語の人の様子から、「ネイティブって多少の雑音があっても母語なら聞き取れる」と思ったことをまずお話ししました。そして、「ではなぜそうなのかな?」を日本語を例にして考えてみました。

 

雑音があってもネイティブがちゃんと会話を聞き取れるのは、次の2つを手がかりにしているからです。

 

ポイント

  1. 文脈。
  2. その言葉、表現を知っている。

 

また、ネイティブでなくても外国語として学習をしてもネイティブに近づくことはできます(かなりの努力が必要ですが...)。海外在住で子どもをバイリンガルに育てたいと思った時、親が子どもにしてあげられることは、繰り返しになりますが次のようなことです。

 

・できるだけ日本語でたくさん聞いたり話したりする機会を作る。

・子どもが膨大な量の語彙や表現を知り自分でも使えるようにする。そうすることで雑音により単語の一部が聞こえなくても予測し補いながら聞くことができる。

 

このように言うのは簡単、実践は難しい... ですね。子どもの様子を見ながらボチボチやっていけたらと思います。




    • この記事を書いた人

    まめちゃん

    韓国で2人の子供達をバイリンガルに育てています。大学院生の頃は第二言語習得を研究していました。日本語教師の経験が約20年。子供達のバイリンガル育児や国際結婚、バイリンガル育児について第二言語習得や日本語教師的な視点からブログを書いています。 時々韓国の義実家に関する泣き笑いネタもあります^^;

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