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母語は一生変わらないもの?!

 

こんにちは〜。韓国で2人の子どもたち日韓バイリンガルにしようと毎日励んでいるまめちゃん(@mame_chang)です。

 

私たちの一生のうちで「変わるもの」と「変わらないもの」があるとすれば、どんなものがあるでしょうか。人によって違うと思いますが、「変わるもの」は「考え方」「顔つき」「声」「体重」そして「変わらないもの」は、「好きなもの」「名前」「もともとの性格」など、いろいろな答えがあると思います。

 

言語について言えば、以前このブログで「「母語」や「母国語」って何?!」というタイトルで「母語」と「母国語」の違いについて書いたことがあります。私の場合、母語も母国語も日本語ですが、他の国には母語と母国語が同じではない、または複数の母国語があるという場合もあります。

 

 

この「母語」ですが、これは一生のうちで「変わるもの」と「変わらないもの」とに分けた場合、どちらになるでしょうか。今回は、この「母語」について「変わるもの」なのか「変わらないもの」なのかを例と共にお話したいと思います。





母語って何?!

わかりそうでわからない「母語」と「母国語」の違いですが、「母語って何?!」という人のために、まずはWikipedia から引用します。

 

母語とは、人間が幼少期から自然に習得する言語。最も得意な言語という意味で第一言語ともいうが、厳密には両者の間にはずれがある。

Wikipedia「母語」より

 

子どものころ、どうやって覚えたのか全くわからないけど物心がついたときにはすでに自由に使うことができていて、寝起きでもよっぱらっていても、いつでもどこでも自由に使える言語ってないでしょうか? それが母語です。

 

厳密に言うとずれがあるのですが、今回は「母語」とは、「小さいころに自然に覚えた言語で、最も得意な言語」として話を進めることにします。

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母語は一生変わらないもの?!

さて、ここからが本題です。「人間が幼少期から自然に習得する言語。」とは、一生変わらないものなのでしょうか。または外国などに住んだら、変わるものなのでしょうか。

 

結論から言うとケースバイケースです。例をあげながらみていきます。

 

★一生変わらない場合

一生変わらない場合は、例えば生まれも育ちも日本。両親も日本人で学校もすべて日本の学校、そして大人になっても日本でずっと暮らす場合で、外国語は学校で勉強したが日常的に使う機会はあまりなく外国にいくのはたまの旅行くらい・・・という場合です。

 

また、一生日本に住んでいなくても生まれも育ちも学校もすべて日本の学校に通い、大人になってから仕事や結婚で長期で海外に住む場合などです。日本語以外の言語に触れたのは中学校に入ってからの英語の時間で、長期で海外に住んでいるので現地の言語(英語とは限らない)はかなりうまくなって現地の人と間違えられることもあるけど、やっぱり日本語が一番楽かな・・・と感じるような場合です(ちなみに私はこのパターンで、韓国在住が15年以上となった今でもやっぱり母語はバリバリの日本語です)。




★変わる場合

母語が変わる場合があるとしたら、それはどんな場合でしょうか。それは例えば、日本人の両親を持つ子どもが日本で生まれ育っていたのですが、親の仕事の都合などで小さい時に海外に住んで現地の幼稚園や小学校などに通っていた場合が挙げられます。それまでは日本語を自然に習得していて自由に使っていたのに、海外に住みだして現地の学校に行かせるようになった途端に現地の言葉が飛躍的に伸びて、周りを驚かせると同時に日本語を忘れていくスピードの速さにとまどうママやパパの話をよく聞きます。

 

このような状況が続くと、子どもは現地の言葉で学校生活を送り現地の言葉で頭の中で考えて口から出てくる言葉も現地の言葉が多くなり、気がついたら自由に使える言葉が日本語から現地の言葉に逆転している・・・ということになります。その後、現地での暮らしが長期化すると母語は完全に現地の言語となる可能性が高く、日本語をどう維持するか補習校なども検討しないといけなくなると思います。

 

反対に、その後日本に完全帰国して子どもがまだ学校に通う年齢であれば、帰国子女として現地で身につけてきた言語を維持しつつ、同じ学年の他の子どもたちに比べて日本語力に差がある場合はその差を埋めるべく努力が必要になってくると思います。こうなると、母語はまた日本語に戻るのかというと、それは日本に戻った時の子供の年齢や環境によると思います。



母語について親にできることはあるの?

場合によっては変わってしまう子どもの母語。環境や自然な流れとして受け止めることももちろんできます。しかし、親がもし、

 

海外在住だけど、やっぱり子どもの母語は日本人の親と同じ日本語であってほしい。

 

と考えたら、どんなことができるのでしょうか。考えられることは例えば次のようなことだと思います。

・海外在住でも日本語を身につけることを常に意識する。

・日本人学校や日本語補習授業校に通わせる。

・1年のうち可能な限り日本に行かせて日本で学校に通わせる。

・テレビ、本などは全部日本語とする。

 

などです。もちろん、母語は1つではなく複数ということもあり得るので、「日本語が母語」ではなく「日本語は母語の1つ」と考えたらこの限りではないと思います。

 

家庭によって子どもがおかれた環境は違います。また、方針や考え方、どこまで実践できるかも違うので自分の家庭に合わせていくのが一番ですね。




まとめ

今回は、一生のうちで「変わるもの」と「変わらないもの」の中でも、「母語」は一生のうちで変わることがあるのか?について簡単に考えてみました。結論としては「ケースバイケース」ですが、ひとつのポイントとなるのは「海外移住などの言語環境」と「年齢」だと思います。

 

特に「年齢」は、以前「子供がネイティヴになれるのはなぜ?」にも書きましたが、脳との関わりが大きいように思います。そのため、年齢が低い時で特に学校で勉強をする小学生や中学生あたりに「海外移住」をしたりして言語環境が大きく変わると母語が変わる可能性が大きいのではないかと思います。

 

バイリンガル子育てをする親としては、子どもが

 

海外に移住して○○語が上手になった~!

 

と思う瞬間はやはりうれしいものではないかと思います。しかし、それと引き換えに「母語が変わってしまう」という事態も予測して

 

母語が親と同じでなくなったら親とちゃんとコミュニケーションが取れるのか?

 

など、先を見て対策を立てておいたほうがいいと思います。

 

その対策とは、例えば「日本生まれ→海外移住」の海外移住が決まった時点で「どう日本語を維持・伸ばすか」になると思いますし、「海外生まれ→日本移住」の場合は「海外で覚えた言語をどう維持・伸ばすか」になると思います。環境によって子どもが変わることも想定に入れて、情報収集+実践をしたいですね......。




  • この記事を書いた人

まめちゃん

韓国で2人の子供達をバイリンガルに育てています。大学院生の頃は第二言語習得を研究していました。日本語教師の経験が約20年。子供達のバイリンガル育児や国際結婚、バイリンガル育児について第二言語習得や日本語教師的な視点からブログを書いています。 時々韓国の義実家に関する泣き笑いネタもあります^^;

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