こんにちは。まめちゃん(@mame_chang)です。韓国でバイリンガル育児を始めて約10年。今も努力中...です。
さて、「うちの子をバイリンガルに育てよう!」と私が最初に思ったのは、現在小学校高学年の上の子がお腹にいた時でした。そしてその後下の子が生まれて現在では、韓国で2人の子どもたちを日本語と韓国語ができるバイリンガルにしようと毎日いろいろとやっています。
ちまたでは、バイリンガル子育てについてさまざまな事が言われています。例えば、
- 「子どもがお腹にいる間から始めよう!」
- 「子どもの母語がちゃんとできるようになってから次の言語を教えよう!」
- 「子どもは何ヶ国語か同時に始めても大丈夫。」
いろいろあって迷ってしまうと思います。私の場合は韓国に住んでいる日本人ママということで、

と考えると答えは、

ということでした。それを考えたのが約10年前で、そして今に至ります。
周りを見てみると、だいたい1.~3.のどれかの考えでバイリンガル子育てをしているように思います。今回は、この中でも2.に少々関連がある理論を1つできるだけわかりやすく簡単にご紹介したいと思います。
バイリンガリズムの「しきい理論」って何?!
「理論」というと、なんだか難しそうな言葉ですが、世界にはいろいろな分野を研究している研究者がいて、「バイリンガル教育」も研究分野の1つです。その中で今日ご紹介するのは次のようなものです。
理論の名前:しきい理論(Thresholds Theory)
誰が言った理論?:ジム・カミンズ(Jim Cummins)など
カミンズは、カナダでバイリンガリズムやバイリンガル教育を専門としている大学教授です。では、この理論は子どもの認知力とバイリンガリズムの度合いの関係をある程度まとめたものです。
まず、「しきい」と言うと家の中にある敷居をイメージする人が多いと思います。この理論で言う「しきい」は、家の中でよく見る敷居とはちょっと違って下の画像のように1階と2階、2階と3階の境目である天井のようなイメージだと思うとわかりやすいかもしれません。
この理論では、、、
- 1階 → 「限定的なバイリンガル」
- 2階 → 「均等バイリンガルですが少し弱め」
- 3階 → 「均等バイリンガル」
このように表されます。(「限定的なバイリンガル」「均等バイリンガル」などのバイリンガルの種類については、以下の「参考記事」へ。)
・「限定的なバイリンガル」「均等バイリンガル」って何?という方へ ↓↓
1階のレベルにいる子どもは、2つの言語がどちらとも弱く認知的にはマイナスの影響を与えることがあり、2階のレベルにいる子どもは、2つの言語のうち片方が年齢相応にできるバイリンガルだと言うことができるのですが、もう一方の言語は年齢相応のレベルまで達してなく認知面ではプラスでもマイナスでもないそうです。
そして、3階まで達すると両方の言語で年齢相応の言語能力をもち認知的にも優れている、というものです。
ここで多分次の疑問は、

ということだと思います。ちょっと理論からは外れますが、この「認知的」ということを考えてみます。
「認知的」ってここではどういうこと?!
「認知」というのは、なんだかわかりそうで何だかわからない言葉なのですが、
人間などが外界にある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程のことをいう。意識と同義に用いられることもある。
Wikipedia「認知」より
つまり、おおまかに言うと私たちの周りにあるものについて「これは○○だ。」「これは重い。」「これは冷たい。」と見たり聞いたり触ったりなどして、それが何であるかわかるということです。
この理論から思うこと
さて、ここでこの理論の話に戻りたいと思います。この理論から思うのは、やはりバイリンガル子育ても大切なのですが、子どもの様子を見ていて認知的な面の発達に影響を与えそうなら言語よりも認知的な面での発達を大切にするのがいいのかもしれないと思います。
なぜなら、もちろんバイリンガルになってほしいという思いはあるのですが、子どもの認知的な面の方が発達して欲しいと思うからです。それにバイリンガルと言ってもネイティブになるかどうかはさておき、ある程度成長してから後で新しい言語を始める方法もあります。
それから、この理論では「1階」は何歳ぐらい、「2階」は何歳ぐらいなどといった年齢的な区切りは書かれていないようです。やはりバイリンガル子育てをしている環境によってパターンがいろいろあるので、きっと一般化するのが難しいのだと思います。
バイリンガル? マルチリンガル?
この理論はバイリンガリズムについてなのですが、私が今までインタビューをしてこのブログに載せていただいた方々には3言語のマルチリンガル子育てを実践している方々もいました。マルチリンガルにも当てはまることなのか、興味があるところです。
そして、もしバイリンガルに当てはまってマルチリンガルには当てはまらないとしたら、それはなぜなのか...。バイリンガルにもマルチリンガルにも当てはまるとしたら、何が具体例や事例があるのかなど、どんどん興味が広がっていくように思います。
まとめ
今回は、カナダの大学でバイリンガリズムやバイリンガル教育を専門としているカミンズなどが最初に提唱した「しきい理論」についてご紹介しました。今回のポイントは次のとおりです。
ポイント
・「しきい理論」は家に例えられている。
・1階 → 「限定的なバイリンガル」
・2階 → 「均等バイリンガルですが少し弱め」
・3階 → 「均等バイリンガル」
うちの子で考えてみると、下の子(幼稚園児)は1階にいる状態で、上の子(小学校高学年)は2階にいる状態だなぁ、と思います。
理論は理論であってどんな理論も批判されることがありますが、この理論もやはり「2つの言語がどのくらいのレベルになったら上の階に行ったといえるのか?」などが曖昧な部分があります。しかし世の中には、

といった感じでとらえて、親は情報の1つとして持っているといいと思います。