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バイリンガル育児

海外長期滞在者の日本語はこうして受け継がれて行く。過去の例に学ぼう。

 

こんにちは。まめちゃん(@mame_chang)です。韓国で子どもたちを日韓バイリンガルにしようと毎日がんばっています。

 

海外に住んでいても子どもとは日本語でコミュニケーションしたい...。そんな思いから始めた私の日韓バイリンガル育児。

 

海外に住んでいると言っても、ひと昔前に比べたらインターネットが驚くほど普及しているこの時代。インターネットを使えば何でもできるというある種の錯覚に陥りそうなのですが、インターネットを毎日使っていても限界があることにも気がつきます。

 

また、海外在住日本人には実はさまざまな形の滞在があります。それは単身で留学だったり国際結婚だったり、日本人夫婦の駐在だったり...。

 

色々な形があり、だいたい9パターンに分かれると思います。細かい事は以前このブログに書いたのでそちらをお読みいただければと思います。↓↓

 

・海外在住のパターンについて ↓↓

 

今回はそんな海外在住日本人の中でも、ブラジルに移民した人の日本語を調べた内容についての記事をご紹介し、現在海外在住で子どもに日本語を覚えて欲しいと思っている親として感じたことを書いてみたいと思います。

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海外長期滞在者の日本語はこうして受け継がれて行く。過去の例に学ぼう。

それではまず今回ご紹介する内容の概要をお話します。

 

★.概要 

記事のタイトル:「日系移民とことば -日本語の多様な姿・あり方―」

記事が掲載された日:2008年1月15日

記事を書いた人: 中東靖恵(岡山大学大学院准教授)

記事の概要:ブラジルに移民した日本人の日本語について。移民後、現地語であるポルトガル語などと混ざった言葉を話すようになった。戦前の移民は西日本出身者が多く、日本語と言っても方言が多かった。移民した日本人は日本語の読み書きができるが現代の日本人とは違う書き方(旧仮名遣い)をキープしている場合も多い。また、記事が書かれた当時の予測ではブラジルの日本語教育はこのような日系移民の子孫が親の言語を受け継いでいく「継承語」よりも、日系移民とは関係ない人達が単に外国語として勉強する「日本語」の方が多くなることが時代の流れとして予測される。

 

 

ちょっとわかりにくい部分もあるかも知れませんが、具体的に引用すると次のような感じです。

 

「...(娘のうち)まだひとり、まだカーザせんでおるね。 バンコ、銀行に通っとるけどね。カーザせんって言いよるよ。・・・」

サンパウロ人文科学研究所「日系移民とことば -日本語の多様な姿・あり方―」より。赤い字はまめちゃん(このブログ主)による。

 

赤い字の部分がポルトガル語だそうで、「カーザ」とは「結婚」、「バンコ」とは「銀行」の意味だそうです。ある意味、いわゆる「ルー語」のようだと思えばいいのかもしれません。

 

また、「おるね」や「かよっとる」、「言いよる」あたりが方言で、この方は石川県出身で4歳の時に移民した方の言葉(方言)だそうです。

 

そして現代では使わない書き方というのは、「難しい」は現代では

 

「むかしい」

 

と書きますが、昔の書き方では

 

「むかしい」

 

と書いていたそうです。そして、それが更新されることなく、そのままブラジルに移民しても使われ続けていたというわけです。

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どんな部分が受け継がれて行った?

では、このような移民の日本語ですが、どのような部分がブラジル生まれの移民の子どもたちに受け継がれて行ったのでしょうか。この記事に書かれていたのは、まず「音声」です。

 

現代日本語の共通語では、『ず』と書いても『づ』と書いても発音に違いはない。だが、かつて『ず』は[zu]、『づ』は[du]のように区別して発音されていた。

サンパウロ人文科学研究所「日系移民とことば -日本語の多様な姿・あり方―」より。

 

そして、それがブラジル生まれのお子さんに受け継がれていたのです。この発音の区別は今の日本語にはもうありません。「ず」と言っても「づ」と言っても同じ発音になります。

 

この記事には音声ファイルなどはなかったのですが、音声ファイルがあれば現代の私達にも「ず」と「づ」の音の区別が具体的に示せたのではないかと思います。実際、私は区別があることは知っていましたが、自分では区別してはっきりと発音することはできません。

 

また、記事には書かれていなかったのですが、多分読み書きも一緒に受け継がれていったのではないかと思います。移民した人たちが、どのぐらい子どもたちに日本語を受け継いで欲しいと思っていたかはわかりませんが、読み書きも多少は教えられていたのではないかと思います。



過去の例から思うこと

今回はブラジルに移民した人の日本語に関する記事を簡単にご紹介し、どんな部分が受け継がれていったのかを引用しながらご紹介しました。この記事を読んで思ったことは次の通りです。

 

・現代の日本語にはない発音の違いまで引き継がれていったのは、子どもの頃から日本語でコミュニケーションしてたから。

・言葉は時代と共に変化する物なので自分の知識をアップデートしないと昔のままになってしまう。

・読み書きも時代と共に変わることがあるので、海外に住んでいても区別して知っておいたほうがいい。

 

「私は日本で生まれ育ったから海外にいても私の日本語は大丈夫」

 

と思っていたら、気がついたらまるで浦島太郎のように「言葉の浦島太郎」になってしまうかも知れません。「言葉の浦島太郎」については過去記事をご覧ください。↓↓

 

・言葉の「浦島太郎」について ↓↓

 

まめちゃん
海外に住んでいても、インターネットを使えばいつでも最新の日本語に触れられるよ~。

 

私はそう思っていましたが意識してみるとインターネットは完璧ではなく、それでもやはり変わり行く言葉を追いかけて自分の知識をアップデートしていくのは結構大変です。もちろん、1年に何度も日本に一時帰国できたらそうでもないかも知れませんが…。



海外でバイリンガル育児をしていて思うこと

今回ご紹介した記事ですが、記事の中で紹介されていた方々は子どもの教育のための移住や国際結婚による移住ではありませんでした。ブラジルに移民をし、そしてただ子どもとコミュニケーションを取るために親は自分の母語で話しつづけたのではないかと思います。

 

その結果、日本から地理的に遠く離れたブラジルで、変わって行く日本の日本語とは関係なく移民当時の日本語がキープされ現地語と混じりあい、それが移民の子どもたちの言語となったのだと思います。

 

現在、私は韓国で子育てをしています。遠く離れたブラジルとは違い、飛行機に乗ったら1~2時間半程度で日本には帰ることができます。しかし、日常的に日本語を使うのは家庭内では私だけなので、私が使う日本語が主にそのまま子どもたちに受け継がれていきます

 

最近ではスマホやパソコンでインターネットを使えばYoutubeなどで、色々な日本語を聞こうと思えば聞くことができる環境となりました。そのため、そこまで意識しなくてもいいかも知れませんが、やはり自分が使う言葉は子どもたちに受け継がれていくという意識を持つ事は大切ではないかと思います。



まとめ

今回はブラジルの日系移民の言葉に関するインターネットの記事について、どんな言葉や発音がブラジル生まれの子ども達に受け継がれていったかなどについてご紹介しました。

 

この記事自体は2008年に掲載されたものなので決して新しいとは言えません。しかし、内容的には現在でも十分参考になるものだと思います。

 

今回のポイントは次の3つです。

ポイント

・親が使う言葉は子どもに受け継がれていく。海外ではそれが顕著に表れる。

・インターネットもいいけど、自分の知識をアップデートすることを常に忘れずに。

・言葉の変化には敏感になろう。

 

新しい言葉が生まれてはすたれていき、そのサイクルが早い現代。うまく使えないとしても知識としてもっておきたいものだと思います。

 

・自分の日本語って時代遅れになってないかな...?と思ったら...?↓↓

 

・私の日本語、現時語と混ざってない?と思ったら...?↓↓




    • この記事を書いた人

    まめちゃん

    韓国で2人の子供達をバイリンガルに育てています。大学院生の頃は第二言語習得を研究していました。日本語教師の経験が約20年。子供達のバイリンガル育児や国際結婚、バイリンガル育児について第二言語習得や日本語教師的な視点からブログを書いています。 時々韓国の義実家に関する泣き笑いネタもあります^^;

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