こんにちは。まめちゃん(@mame_chang)です。韓国で二人の子どもたちを日韓バイリンガルにすべく毎日努力中です。
さて、日本にいる方々をみていると
という声を聞いたり実践したりしている方を見かけます。
そして逆に海外で育児をしている場合は、
という方々が多いように思います。
ところで、日本でよく言われる
や
は、どこから来ているのでしょうか。また、ちまたでは
「日本語と韓国語は似てるから勉強しやすい」
ということも聞いたことがありますが、それはどうしてなのでしょうか。
今回はこれらについて、まず「言語間距離」という点からお話してその後、海外でバイリンガル育児をしている親として思うことを書いてみたいと思います。
言語間距離って何?日本人に英語が難しくて韓国語が易しい理由とバイリンガル育児
ではまず「言語間距離」とは何でしょうか。「言語」も「距離」も決して難しい言葉ではないのですが、一緒になるとわかるようなわからないような言葉だと思います。
まずネットで調べてみたら例えばWikipediaには英語のページがありました。英語しかなかったので、それを引用しつつ噛みくだいて書いてみます。
Linguistic distance is how different one language or dialect is from another. Although they lack a uniform approach to quantifying linguistic distance between languages, practitioners of linguistics use the concept in a variety of linguistic situations, such as learning additional languages, historical linguistics, language-based conflicts and the effects of language differences on trade.
Wikipedia「 Linguistic distance 」より
英語では「Linguistic distance」と言うようですね。
では、これをもうちょっとわかりやすく噛み砕いて書いてみます。
「言語間距離とは、ひとつの言語(または方言)が他の言語(または方言)と、どのぐらい違うかということです。
この言語間の距離をはかる決まった方法はありませんが、言語を研究している人達は、言語を学習や歴史的などの観点から見てこの言葉を使っています。」
そしてもっと具体例をあげると例えば
「日本語と英語ってどのぐらい違うの? 文法は? 発音は?」
ということなります。さらに、色々資料を探してみるとインターネット上では、特に英語と日本語の「距離」について書いてあるサイトが多いです。そこで距離を測るのに参考にしているのは、次のようなものです。
・文法
・発音
・言葉の順番(語順)
・文字
ではここからは言語間距離という考えを元に、日本人に韓国語が易しい理由と、英語が難しい理由を考えてみたいと思います。
言語間距離って何?日本人に韓国語が易しい理由、英語が難しい理由
インターネットを見てたら、次のような画像を見つけました。
画像はエースネイティヴ発音リスニングスピーチ研修所より
(※2023年1月13日時点でリンク切れ↑)
この画像がどのぐらい妥当なのかはちょっと置いておいて、縦軸は文法、横軸は発音となっています。またこれは日本語から見たものではなく英語を基準にして世界の言語が英語からどのぐらい違うかを示しています。
この画像はどんな資料をもとに作られたのか定かではありませんが、例えば「文法」の部分は語順、肯定形、否定形、未来形、過去形などそれぞれの言語でどのように表現するかを見たのではないかと思います。例えば、語順なら英語はよく言われるように
「主語 + 動詞 + 目的語(いわゆる「SVO」)」
そして日本語は
「主語 + 目的語 + 動詞(いわゆる「SOV」)」
と言った感じです。また「発音」は、英語と日本語にどんな音(音素)があるか、その中で同じ音がどのぐらいあるのかなどを見たのだと思います。
・「音素」って何?という方は、参考記事へ。↓↓
他にも文字(日本語は平仮名、片仮名、漢字、英語はアルファベット)など、違う点はいくつか出てきます。
次に日本語と韓国語ですが、一般的にも「似ている」と思われているように、文法、発音などで似ている部分は多いです。文法で「語順」を見てみると韓国語は日本語と同じです。
「主語 + 目的語 + 動詞(いわゆる「SOV」)」
音については、韓国語は二重母音があったり子音の種類も多かったりします。日本語にはあるけど韓国語にはない音というものありますが、数だけ見てみると韓国語の方が音の種類が多いように思います。
また、語彙という面で見ても漢字語には発音が日本語と似ているものもあるので、英語よりもずっと近い場所に位置づけられているのも納得できます。
バイリンガル育児という点で考えるとどうなる?
では、次にバイリンガル育児をしている親としてどう思うかを考えてみます。先ほどの画像に従って考えると次のような考えが浮かびます。
・日本語と韓国語のバイリンガル育児
→日本語と韓国語は近いからやりやすいのでは?
・英語とドイツ語のバイリンガル育児
→言語的に近いからやりやすいのでは?
・日本語と英語のバイリンガル育児
→言語的にかなり離れているから難しいのでは?
・英語と中国語のバイリンガル育児
→言語的にかなり離れているから難しいのでは?
実際にこれら全てのパターンで育児をしている知り合いがいるわけではないので、断言はできませんが、言語の習得というのはそう単純なものではないように思います。では、私の周りにたくさんいる日本または韓国在住の日韓夫婦の日韓バイリンガル育児はどうなのでしょうか。
日英バイリンガルよりも簡単…だと思えばいいのでしょうか。答えは残念ながら「そうとは限らない」です。理由は、例えば次のようなものが考えられると思います。
・韓国語の方が強かったら日本語を使う時に韓国語の影響を受けた日本語になる。
・2つの言語をちゃんと分けないと特に小さいうちは混乱を起こすことがある。
・語順などが似ていても文法的な間違いが全くないとは言えない。
日本語と韓国語は「言語間距離」が近いし「似ている」と言われます。でも、「近い」そして「似ている」ことは、「同じ」ではないのです。そのため、韓国語に影響をうけた日本語になってしまったり、文法的な間違いが起きたりするのです。
バイリンガル育児をしている親にできることは?
バイリンガル育児をしている親として気になるのは、やはり「親として何ができるか」ということではないかと思います。海外でバイリンガル育児をしている場合は、最初に少し触れたように
となると思います。これは、子どもが現地校に通っていて近くに補習校がなかったり日本人の集まりなどがなかったら、さらに強く思う人もいるかもしれません。
先ほどの日本語と韓国語の例のように言語が近いとしてもまたは離れているとしても、このような言語間距離を考えるとやはり幼い頃から教えていくのがいいのではないかと思います。それは、やはり幼少のころの方が音(音素)、発音やイントネーションのなめらかさ、自然な言い回しの習得などがしやすいと思われるからです。
また、言語間距離は親は知識として持っていてもいいと思いますが、実際にバイリンガル育児をする時は、あまり神経質にならずできるだけ自然に子どもと日本語で会話をして
「ママ(パパ)とは日本語」
を定着、習慣化することが第一歩ではないかと思います。
まとめ
今回はまず、言語間距離という言葉と意味を紹介しました。そして海外でバイリンガル育児をしている親にはどんなことができるかという話もしました。
この2つのポイントをまとめると次のようになります。
ポイント
●言語間距離とは、1つの言語(または方言)と別の1つ言語(または方言)が、どのぐらい違うかということ。距離を測るようなものはない。
●海外でバイリンガル育児をしている親は言語間距離のことは知識として蓄えておく。日ごろのバイリンガル子育てではあまり神経質にならず子どもが小さいころから親と日本語で話すことを習慣化しておく。
知識があると、いろんな事態にも慌てず落ち着いて対応できるし安心です。バイリンガル育児は日ごろの努力と積み重ね……。 努力は今日も続きます。