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バイリンガル育児

Zoom授業で子どもに教えてみた成功と失敗

 

こんにちは。まめちゃん(@mame_chang)です。韓国で子どもたちを日韓バイリンガルに育てようと奮闘を始めて、早くも10年以上が経っています。子どもが生まれる前、お腹にいたころから子どもたちには日本語で話しかけ、生まれて来てからもずっと日本語です。

 

このように育てていると物心がつくころには親と日本語でコミュニケーションを取ることができ、少しずつ読み書きも始まっていきます。しかし子どもが現地校に通い始めると、それまでがんばって積み上げて来た日本語の力が、あっという間に現地の言語に塗り替えられていくのです。

 

そのため、補習校や日本語教室、自助グループなどで日本語の維持や向上をしようとします。このような補習校や日本語教室、自助グループは規模にもよりますが、建物を自分の団体で所有している場合よりも、現地の小学校~高校あたりの建物を有料/無料で借りて使っていることも多いです。

 

ところが新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、以前のようにどこかに集まって一緒に日本語を勉強したり文化体験をしたりすることが難しくなっています。活動を休止せざるを得ないこともあり、家で子どもの現地校のオンライン授業のサポートをしたり、登校日には万全を期して学校に送り出したりしていることと思います。

 

そのような中で、活動を一時期は休止したもののオンラインで再開している団体も少なくありません。今回は、日本語や日本文化を子どもに伝えていく目的を持った団体の中でも自助グループに焦点を当ててオンライン授業の試行錯誤と可能性について垣間見てみたいと思います。

 

ちなみに、今回の話は一部は私の経験、一部は周りの話から書いたもので、出てくる自助グループはどれも海外在住の国際結婚の家庭の小学校低学年を対象としたグループです。





オンライン授業の方法はたくさんある

「オンライン授業」は、他にも「遠隔授業」「非対面授業」などと呼ばれています。そして、例えば次のようなツールを使用して授業が行なわれています。

・Skype

・Zoom

・Google Meet

・Whereby

・Live On

・Facebook Messenger

・Microsoft Teams

 

こうやって見てみると、ツールの名前が横文字のものばかりですね。ちなみに、これらは数人で行なわれることを想定して挙げてみましたが、1対1の場合は、もっと気軽にSNSを使ってLINEやWhatsAppなどを使うこともあると思います(ちなみに、私がいる韓国ではKakao Talkという方法もあります)。

 

ちなみに、私はSkype、Zoom、Whereby、Facebook Messenger、Kakao Talk、LINEのビデオチャットを使ったことがあります。相手によって使い分けているので、また使ったことがないツールもそのうち使う機会があるかもしれません。

 

このようにたくさんあるツールの中で、自助グループで子どもたちに日本語や日本文化を伝えていくにはどれをどう使ったらいいのでしょうか。

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    バイリンガル育児の始め方

失敗した例と理由

今回の話にでてくる自助グループは、どこも新型コロナウイルス(COVID-19)の前は、オフラインで定期的に集まっていました。そして日本語や日本文化を子ども達に教えていました。そして 新型コロナウイルス(COVID-19)以降は、次のような方法でオンライン授業をやってみたとのことです。

・使ったツール: Zoom

・内容:国語、日本の歌、簡単なゲームなど

・実施した回数:数回

 

うまく行かなかったのは例えば次のようなことだったそうです。

・教室をオンラインに移行しようとしてもうまくいかない。

・教室の時と同じ人数でやるとやりにくい。

・家庭によってはWifiに問題があり途中でZoomから落ちてしまったり画像や動画が遅れて届いたりして歌やゲームがみんなと一緒に楽しめなかった。

・子どもの集中力が持たない。

・みんなと勉強しているという気分に子どもがならない。

・Zoomの無料アカウントは40分までなのでせっかくの活動が尻切れトンボになってしまうこともあった。

 

では、これらの理由は何だったのでしょうか。1つずつ簡単に見ていきます。

 

★.教室をオンラインに移行しようとしてもうまくいかない。

→オフライン(教室)をそのままオンライン(Zoom)で実現しようと思っても、パソコンやスマホの画面の中だけが頼りなので、教室と同じ雰囲気を感じることができなかったのだと思います。特にスマホだとZoomで画面共有すると友達の顔がさらに小さくなりよくわかりません。

 

 

★.教室の時と同じ人数でやるとやりにくい。

→空間的な感覚が大きいと思いますが、教室と同じ人数でZoomで授業をすると1人1人の顔が教室よりもずっと小さく見えるし画面共有をしている間は数人の顔しか見えません。そのため子どもたちの反応がわかりづらく目が届きにくいです。

 

 

★.家庭によってWifi事情が違うので途中でZoomから落ちてしまったり画像や動画が遅れて届いたりして歌やゲームがみんなと一緒に楽しめなかった。

→家庭によって契約しているWifiが違い速度もさまざまです。そのため途中で突然Zoomから落ちていなくなったり授業中に送った画像や動画が遅れて届いたりしました。歌は音声だけ先に来て、動画(絵)の部分が遅れて来ることも。このようなズレはWifiが遅い家庭の子はみんながクイズに答えたあとにやっと問題の画像を見るということになりました。原因はWifi、またはパソコン、タブレット、スマホ、どのディバイスを使っているかというのも関係があるようでした。

 

 

★.子どもの集中力が持たない。

→先生も友達もみんなZoomという平面の中にいるので、知ってる顔だけど相手がこちらを見ているのかがわかりにくいし、こちらが先生の方を見ていても先生にはわかりづらい。また、カメラの前という限られた空間での授業のため、先生も子どもたちもジャスチャーなどを大きくしても相手に伝わりづらかったようです。結果的に最初はものめずらしかったものの、段々集中力が途切れていました。教室での勉強よりも集中力が持たないようです。

 

 

★.みんなと勉強しているという気分に子どもがならない。

→これもやはりZoomという平面の中にいるのが理由かもしれません。映画で時々みるようにホログラムにでもなって、先生や他の子ども達が立体化して他の子ども達がきちんと勉強している姿をみたら、みんなと一緒に勉強しているという意識も生まれるのではないかと思います。

 

 

★.Zoomの無料アカウントは40分までなのでせっかくの活動が尻切れトンボになってしまうこともあった。

→自助グループにどのぐらい資金があるかにもよりますが、資金がない場合はZoomの無料アカウントを使用することになります。その場合、3人以上になれば40分の時間制限がつきます。

 

お金があれば、WifiやZoomの契約を見直したらいいのですが、資金がなくお金がかけられない自助グループだからこそ、できないことをどうするかよりも今ある環境でどうしたらいいかを考えた方がいいと思います。

 

では次になんとなく成功した方法も見ていきます。



なんとなく成功した方法

数々の経験から、なんとなくうまく行った方法とは次のような方法だったそうです。

・少人数で実施。

・マイクは発言時以外は、全員ミュート。

・授業内容のハードルを下げる、バリバリ勉強ではなくお互いの近況を報告し合うだけの時間も作る。

・授業時間を短くする。

・リアルタイムではなく動画を撮って流す。

 

子どもが集中できる時間やZoomでは教室授業と同じようにはできないという経験から、少人数制にして目を届きやすくしたそうです。人数が少なくなると、画面共有しても顔が見られる人数が極端に少なくならないからです。

 

また、マイクは発言する時以外は全員ミュートにしておくと、Zoom内がカオスにならなくていいです。Zoom入室時、そして発言しない時に自分以外の誰かをミュートは、ホストが管理できます。

 

そして勉強バリバリではなく、お互いの顔を見るだけの時間を作ることは、子どもにとっては自分と同じような境遇の友達が身近にいるということを忘れずにいられるので、心理的にも楽しめるようです。そしてオンラインの時は、授業時間を短くすると、集中力の持続や親がサポートする負担も減ったようです。

 

そしてWifiやZoomに参加する時のディバイスの問題は、子どもの勉強への意欲とは関係なく親の経済的な事情も関係します。そして自助グループでそれをカバーするのは、なかなか難しいことです。そのため、そこを少しでも解決するのは、リアルタイムのZoomではなくあらかじめ撮影した動画です。そこに歌やクイズを入れておいて、その後のリアルタイムのZoomでクイズの答え合わせだけしたら、特に大きな問題もなかったとのことです。



オンライン授業で親ができること

子どもがZoomなどのオンライン授業を受けるにあたり、親ができることには何があるのでしょうか。今回の話の自助グループのように、子どもが小学校低学年だと仮定すると、例えば次のようなことではないかと思います。

 

・横でZoom授業参加のサポートをすること。

・子どもに日ごろから興味を持たせること。

・子どもにやる気がない時は、無理強いしないでたまにはいさぎよく休むことも必要

・親のITリテラシーを少しでも上げておくこと。

 

親がZoom授業のサポートを横でするとしたら、親がマイクミュート、画面共有などのZoomの使い方を把握しておかないと、貴重な授業の時間がどんどん過ぎて行ってしまいます。「ITリテラシー」というと、ちょっと敷居が高そうに聞こえるかもしれませんが、要は親もどんどん使ってみたりわからないことはインターネットで調べたりしておくと、何かトラブルがあってもすぐに対応できそうです。

 

また、

 

まめちゃん
来週の○曜日は、Zoomで○○ちゃんに会えるね!

 

のように、モチベーションを上げたり興味を持たせたりしておくと

 

○曜日までに、△△をする。

 

という期限と目標ができて、よさそうです。また、どうしても子どもの気が乗らない時は、いさぎよく

 

まめちゃん
今日は日本語の勉強やめよう!

 

とすることも、たまにはアリかなと思います。



まとめ

今回は、Zoomなどのビデオチャットツールを用いた子どもの日本語・日本文化の授業について私が経験したことと、周りから聞いたことをもとに、書いてみました。失敗した!と思ったらそれを改善したらいいし、改善のためには親自身が調べたり勉強したりすることが必要な時もあります。

 

うまくいった人たちの話では、Zoomで子どもたちに日本語や日本文化を伝えていくには、次のような方法がよかったそうです。

 

ポイント

・少人数で実施。

・マイクは発言時以外は、全員ミュート。

・授業内容のハードルを下げる、バリバリ勉強ではなくお互いの近況を報告し合うだけの時間も作る。

・授業時間を短くする。

・リアルタイムではなく動画を撮って流す。

 

もちろん自助グループのメンバーが違えば、この方法は使えないこともあると思います。でもやはりそれも、実際にやってみて改善を加えていく……。

 

その繰り返しがあってこそ、「うまく行った(成功した)!」という瞬間がくるのではないかと思います。

 




  • この記事を書いた人

まめちゃん

韓国で2人の子供達をバイリンガルに育てています。大学院生の頃は第二言語習得を研究していました。日本語教師の経験が約20年。子供達のバイリンガル育児や国際結婚、バイリンガル育児について第二言語習得や日本語教師的な視点からブログを書いています。 時々韓国の義実家に関する泣き笑いネタもあります^^;

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