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バイリンガル育児

バイリンガルは時間の認識が違う。2つの言語と文化の間でうまくやっていく方法

 

こんにちは。まめちゃん(@mame_chang)です。韓国在住で二人の子どもたちを日韓バイリンガルにしようと、努力の毎日を送っています。

 

言語が1つだけわかる人のことをモノリンガルと言い、2つわかる人のことをバイリンガルといい、3つわかる人のことをトリリンガルと言います。言語が複数だと、文化や考え方なども言語の数だけ存在するように思います。また、文化と言っても広いし、考え方と言ってもいろいろあります。

 

そして、言語だけではなくどんな言語を使ってどんな環境で育ったかもその人の考え方や人格、行動を決めるのに影響を与えるもののように思います。今回は「時間」ということをテーマに書いてあるブログ記事を少し紹介し他の言語のバイリンガルについても考えてみて、その後バイリンガルの人はどうしたらいいのかな?ということについて考えてみたいと思います。





バイリンガルは時間の認識が違う。2つの言語と文化の間でうまくやっていく方法

日本で生まれ育つと「時間厳守」とか「5分前行動」なんてことを子どものころから教えられ、遅刻はしないように、周りに迷惑をかけないようにと育てられます。しかし、海外に出てみたり日本以外の文化で育った人と接していると、時間の感覚というのは国や文化によって違うんだなぁと思ったことがあります。

 

日本だと、例えば待ち合わせ場所などで次のような会話をしているのを見たり聞いたりしたことはないでしょうか…?

 

遅れてごめん!今日はなにかおごるよ。ホントごめんね。

 

いいよ~。仕方ないねぇ...。

 

私自身はアメリカに1年弱住んだことがあり、そこで知り合ったアメリカ人と待ち合わせをした時に約20分遅刻してきても平然として「Sorry」のひと言もあったりなかったりで驚いたことがあります。また、韓国に住んで約15年ですが、こちらも「コリアンタイム」なんて呼ばれていて、約束の時間の前後10分~15分ぐらいは許容範囲(もちろん個人差はあります)といった感じです。

 

そういえば私のシオモニ(義母)も、うちに遊びに来る時に何回次のような会話をしたことか…。

 

まめちゃん
明日は何時ぐらいにうちに来ますか。

 

午後。

 

初めてこれを聞いたときは、

 

まめちゃん
午後ってお昼の12時~夜の11時59分だけど、午後って一体何時??

 

と思ったものです。しかし......

 

まめちゃん
で、午後って何時ごろですか...(汗)? 

 

と聞いても結局

 

お昼ごはん食べてから家を出たら、う~ん3時とか4時とか…?

 

と結局ざっくりです。そのうち私も慣れて来て

 

「午後に行くよ~」

 

に対して

 

「何時ごろですか」

 

とは聞かなくなりました。

 

ちなみに、シオモニ(義母)はモノリンガル(言語が1つだけわかる)なので、シオモニの時間の感覚についてはまた機会を改めてブログに書くことにして、今回のバイリンガルの時間の認識について話を戻すことにします。

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    バイリンガル育児の始め方

どう違うのかな?

インターネットで色々みていると次のようなブログを見つけました。

 

記事タイトル:「Bilinguals perceive time differently, study finds.」

公開日:2019年9月上旬(はっきりと公開日が書かれていませんがコメントを見るとこのぐらいです)

 

このブログの内容はもともと英語なのですが、ポイントだけ要約すると次のようになります。

 

バイリンガルは時間についての認識が違うという事が研究によって示された。ランカスター大学の言語学者であるPanos Athanasopoulosなどは、バイリンガルは使う言語の文脈によって時間を捉え、その捉え方は言語によって違うと実証した。例えば英語とスウェーデン語を話す人、スペイン語とギリシャ語を話す人では休憩時間や結婚式について話す時、次のように言う。

 

英語/スウェーデン語 →短い休憩(short break)、長い結婚式(long wedding)

英語/ギリシャ語 →小さな休憩(small break)、大きな結婚式(big wedding)

 

研究者によるとバイリンガルは文脈に応じて、何かが起こっているとき(例えば上の例だと休憩とか結婚式)にそれが続く時間をどうとらえるか「短い」のか「小さい」のかが変わる。

(中略)

バイリンガルの考え方は柔軟なので、日常的に2つの言語を頭の中で行ったり来たりすることは学習能力という点では有利だということが示されたのではないかと思われる。

The Language Nerds「Bilinguals perceive time differently, study finds.」(英語)より一部要約

(2022年1月12日現在リンク切れ)

 

そして、このブログで引用している研究とは、「Journal of Experimental Psychology: General, Vol 146(7)」に収録されているそうです。(発行は2017年7月、pp.911-916 原文は英語)。

 

なるほど、言われてみたらちょっと休憩する時って英語だと「short break」「small break」というのを聞いたことがあるようなないような…? そして、面白いのはこのブログにコメントに次のようなコメントが3つついていることです。

 

・「Time」と「duration」は同じコンセプトではない。また、「long wedding」と「big wedding」は同じことを指すのではない。でもバイリンガリズムは考え方に影響を与えるという点はそうだと思う。

・英語の「duration」の意味は関係なくて、ここ関係があるのはスペイン語での意味。

・時間の感覚はバイリンガルであってもマルチリンガルであっても影響は受けません。「日(A day)」は全ての言語で「日(a day)」で、時間や期間などは文化が影響を与えるもの。言語は文化を反映して使われる道具です。(後略)

 

見方によっては厳しいコメントのためか、これらのコメントの後コメント欄が入力できないよう締め切られていました(汗)。私はこのブログを日本語で書いていますが、今回紹介したブログは英語で書かれていて引用したもともとの研究でも「Time」と「duration」の両方が出ているのですが、そこを突っ込まれているって感じですね。

 

私は個人的に、3つ目のコメントの

 

「日(A day)」は全ての言語で「日(a day)で、時間や期間などは文化が影響を与えるもの。」

 

というのに共感しました。なぜなら、最初にちょっと話したアメリカ人の友人や、うちのシオモニ(義母)の時間の感覚や捉え方が、まさにそれぞれの時間の捉え方を反映した言動になっているのではないかと思っていたからです。



他のバイリンガルはどうなのだろう

他のバイリンガルといっても私の周りは圧倒的に日韓バイリンガルがたくさんいるので、日本語と韓国語を話す人達で考えてみました。先ほどの「休憩」と「結婚式」でいくと…?

 

日本語/韓国語 →「短い休憩/長い結婚式/」「짧은 휴식시간/ 자은 휴식시간/긴 결혼식/ 큰 결혼식」

 

ちょっと順番にみていくと、日本語がネイティブの私には「短い休憩」「長い結婚式」というのは自然な表現に聞こえます。そして、「小さい休憩」はちょっと使わないかもです。また、「小さい結婚式」「大きな結婚式」というのは、全く使わなくはないけど今回の話の「時間」とは関係なく結婚式の規模の話になると思います。

 

次に韓国語ですがこちらは検索にかけてみると「 짧은 휴식시간(直訳:短い休憩時間)」は普通に使うようですが、「자은 휴식시간(直訳:小さい休憩時間)」は、アルバムや作品のタイトルとしてヒットしたので、やはり普通に使うのは「 짧은 휴식시간(直訳:短い休憩時間)」の方のようです。

 

そして、「結婚式」の方は、「긴 결혼식(直訳:長い結婚式)」も「큰 결혼식(直訳:大きい結婚式)」も両方でてきましたが、「긴 결혼식(直訳:長い結婚式)」の方が一般的という感じがしました。そして、「큰 결혼식(直訳:大きい結婚式)」の方は規模を指すという感じです。日本語と韓国語、似てますね。



バイリンガルの時間の感覚について思うこと

今回紹介したブログ内に書かれていることに、どのぐらい妥当性があるかはちょっと置いておいて、次にバイリンガルの時間の感覚について思うことを書いてみたいと思います。今回ご紹介したブログの中にも書かれていたようにバイリンガルは考え方が柔軟で2つの言語を頭の中で行ったり来たりする人達です。考え方が柔軟なのは、言語や文化が2つであるのでモノリンガル(わかる言語が1つの人)よりも、色んな日とに出会い色んな考え方を学んでいるからではないかと思います。

 

しかし、バイリンガルの人自身の考え方が柔軟であることと、そのバイリンガルの人が生きて行く社会の中でどういう言動と取るかは別の問題のように思います。そのため、例えば日本語と韓国語ができる人で日本文化と韓国文化の狭間で生きてきた人であれば、例えば次のようにするのがいいのではないかと思います。

 

・日本人と待ち合わせ、仕事をする時は →時間、期限厳守の日本式で。

・韓国人と待ち合わせ、仕事をする時は →時間、期限厳守はいいことだが周りの様子を見ながらある程度合わせることも必要。

 

「私は日本人から日本式で…」や「私は韓国人だから韓国式で…」となると、言語だけでなく文化や習慣の面で摩擦が生じお互いにストレスになってしまいます。 そのため、言語だけでなく文化も行ったり来たりできたほうがうまく2つの言語と国を渡り歩けるのではないかと思います。



まとめ

今回は、インターネットで見つけたブログで読んだ記事が興味深かったので紹介し、さらにその記事に書かれていたコメントや私の考えなども書いてみました。ひと言でいうと「時間」そのとらえ方は、バイリンガルは違うというものでした。

 

また、言語とは文化の影響を強く受けるものでもあるので、それが時間に関する認識にも表れます。そのわかりやすい例が待ち合わせなどの約束の時間ではないかと思います。

 

「バイリンガルの時間のとらえかたはモノリンガルとは違う」というのはとても興味深いのですが、2つの言語と文化の間でうまくやっていく方法は次のようになるかと思います。

 

ポイント

どんな言語のバイリンガルでも文化に影響を受けているはずだから、バイリンガルは2つの言語だけでなく2つの文化も行ったり来たりして、その文化に合わせた言動をとった方がいい。

 

バイリンガル育児をしている親で、言語が2つそして日本文化に加えてもう1つの文化がわかる場合は、このような事を子どもたちに伝えていけたらいいのではないかと思います。




    • この記事を書いた人

    まめちゃん

    韓国で2人の子供達をバイリンガルに育てています。大学院生の頃は第二言語習得を研究していました。日本語教師の経験が約20年。子供達のバイリンガル育児や国際結婚、バイリンガル育児について第二言語習得や日本語教師的な視点からブログを書いています。 時々韓国の義実家に関する泣き笑いネタもあります^^;

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